フリー(無料)からお金を生みだす新戦略 という本が面白かったから紹介させくれ
フリー(無料)からお金を生みだす新戦略という本が面白く、考え方が広がったので、今までにない形ですが、ブログを更新したいと思います。(こういう形のブログの更新の仕方も実験させてください)
この本を知ったきっかけは別の本で紹介されており(確か Hacking Growth グロースハック完全読本とかだったかな。)
読んでみたいなーと思っていたのですが、とっても面白かったので紹介させてください。
作者は2001年から2012年までアメリカの技術雑誌のWiredの編集長を約12年間務めたクリス・アンダーソンさんです。
ビジネス書にありがちなHowto本にならず、IT業界はもちろん音楽業界、テクノロジーなど様々な視点で無料戦略を紹介/論理的に解説してくれるため、単純に読んでいて楽しいです。
これまで無料でlabelmake.jpを運営していくなかでもそうですし、自分は音楽が大好きなのですが、そういうこともあってこの本が特に面白く感じたのかもしれません。
本の中で印象的だった部分をまとめました。
デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
この本ではアトム
とビット
という単語が出てきます。
アトムは原子。つまりは物質的なもの。
ビットは情報。つまりは非物質的なもの。
と私は解釈しています。
具体的には ご飯はアトムですし、インターネットで触れる情報はビットということになります。
この本で言われていることはデジタルのものは無料になる。無料になりたがる。ということです。
アトムも無料になりたがるのですが、現実問題厳しいです。 フリーランチなどはありますが、なぜ難しいのかというのは限界費用の観点で難しいです。
限界費用はなんだか難しい言葉なのですが、ざーっくりいうと
生産量を増やしたときに追加的にかかる費用のことです。
アトムは物質であるため、地球上で有限です。
なので、ランチを無限に生産することはできません。大量生産や効率化によってコストを削減しても0になることはありません。
一方、ビットは限界費用の観点が全然違っています。有限ではなく無限です。
例えばアプリを作ったとしましょう。一人に使ってもらうのも、100人に使ってもらうのもコストは同じなのです。
以前に読んだ本で、
という書籍があるのですが、この本は音楽の違法ダウンロードにまつわるお話をギークにアンダーグラウドカルチャーも含めて紹介しています。(mp3の開発の話とかちょー面白い)
若者やオタクはクラック(違法ダウンロード)しますよね?w
時効だから言いますが、自分も友達からCDのコピーをもらったり、海外のサイトから音楽データを数テラバイトのハードディスクに一生かかっても聞きれないほど入れたり。 フォトショップをクラックしたりいろいろしました。 金はないけど時間はあるという青春のサブカルチャーを楽しんでいたのかもしれません。
さて、ちょっと脱線しましたが、音楽データやアプリケーションは全てデジタルで0と1の連続のバイトです。
それらが無料になるといっているのです。 自分よりも年上の人がどう思うかはわかりませんが、自分にとってこの考えはとても自然です。
法律的には著作権とか、いろいろと決められたことがあっても所詮は昔の人が作ったルールですから、 自分の考えもデジタル化された情報は最終的に無料になると思っています。
言われてみれば情報やデータはみんなタダ同然で利用していますし、自分もそうです。でも、それらがどういう原理でタダになったのか、というのが解説されており、面白かったですねぇ。合理的にタダになっているんです。
小言: じゃあアマゾンプライムやネットフリックスはなぜ有料なんだ?
アマゾンプライムはいろんな特典がありますが、私はこういう風に考えています。 デジタル化したショッピングモールにお金を払っているのではなくて、 配送サービス(人や車)にお金を払っている。これはアトムです。
ネットフリックスは際どいですが、クリエイター(作家や技術スタッフ、演者、撮影機材)にお金を払っています。コンテンツをインターネットでアクセス可能にすることにお金を払っているつもりはありません。
フリーからもお金儲けはできる
デジタルは無料になっても問題なくお金を稼ぐことはできます。
そりゃあもちろん、生産コストも在庫もないデジタルが有料販売できれば楽ですが、 現実はそんなに甘くないです。
じゃあどうすればいいのか?という方法も例が紹介されています。一手間必要ですがそんなに難しいことではないと感じました。
例えばこのサイトにも配置されている広告は初期の段階でのマネタイズには非常に有効です。
あとは、無料お試しや、一部機能の有料化など。自分も見たことのあるものばかりでした。
この本はwebサービスに限らずいろいろな例を紹介しておりますので、ジレットのカミソリの例なども面白かったです。(タダで配って替え刃で利益を出す)
Googleなどは無料のサービスをたくさん公開していますが、それが無料で運営できるのにもカラクリがあります。プラットフォームにユーザーを集め、ユーザーの匿名データを利用/活用したり、ユーザーがいるので広告を売ったりできます。とにかくユーザーを集めることが最初。ユーザーがいればお金はいろいろな方法で生み出すことができるため、後からいろんなことを考えることができます。
小言: 一手間必要なんですね
自分に言い聞かせますが、プログラムを書いて、それがお金に変わることはありません。
錬金術はなく、お金に変えるには工夫が必要です。雇われプログラマーならこのプロセスをカットしてお金がもらえるのですが、いざ自分のプログラムでサービスを作りお金を稼ぎたいと思った時にこのギャップを感じました。以前、サービスを有料化しようと考えていた時にユーザーさまに価格調査のアンケートをとらせていただいたのですが、その時に「甘くはないな」と思いましたが、勉強不足でした。あの時に協力してくれた方はありがとうございました!有料にしたら何円なら買ってくれますか?への回答が0円とかまじ辛かったすよw
遅かれ早かれフリーと競い合うことになる
ビット値段は常に下がり続けます。
ある日突然、無料のものが現れた!とかで無料と戦う日々がやってくるでしょう。
メールだって今はみんな無料で使っていますが、昔はもちろん自分でメールサーバーを構築して〜などやっているわけですから有料でしたし、 Webサーバーも以前はレンタルが一般的でしたが、今は無料のものがあります。
しかし、常に無料のものが勝つとは限りません。勝つ方法もあります。 しかしフリーと競い合うわけです。
自分のサービスはニッチですが、バリアブル印刷のできるサービスです。
これからも日々改善を続けて、数十万するような大企業のバリアブル印刷ソフトに戦いを挑んでやる!と割と痛い感じで勇気をもらえました。
フリーは別のものの価値を高める
例えばWebサーバーのOSで有名なLinuxやブログソフトのWordpressですが、オープンソースといってソースコードが公開されており、無料で利用できます。
そこには非常に大きな市場があります。
- それらを扱えるエンジニアを求める会社
- それらを使えるように教えてくれる、書籍
- そのユーザーのカンファレンス、フォーラム
などなど。
すぐに使用料やライセンスで小さな商売をして、「お金」を稼ぐことに夢中になる必要はないと思いました。
目先のお金に目をくらませて、ユーザーを食い物にしてもお互い小さなことしかできなくなるわけですから、なんかしんどそうだと思います。
小言:甘えんな
Webサービスやソフトウエアは多くの人に使ってもらい、様々な意見やログを見ながら改善していくことでより良いサービスをすることができます。
短絡的になるな。甘えるなということを学びました。
フリーにしないことで失うこと
ここまで読んだらフリーにしないことで失うことはたくさん想像できると思います。
限界費用が0であるならたくさんの人に使ってもらうことができる。
デジタルのサービスを提供している以上、フリーをやっかいなものではなく、 武器にすることができます。
これを武器にしている人はたくさんいます。
レディオヘッドはアルバムを無料公開し、ついに全アルバムをYouTubeで配信開始しました。
また、aphex twin も新曲をYoutube,SoundCloudでバンバン配信しています。(この動画めっちゃバズってたなあ)
音楽アーティストは歴史的に人前で演奏してお金をいただくモデルでしたが、今は違います。
いつでもどこでも自分の曲を人に聞いてもらえるようなテクノロジーがあります。 知ってもらう、ファンになってもらう、友達にオススメをしてもらう。これがとっても大切なことですよね。
良いものであれば、シェアしたくなります。 友達にとってもあなたのお墨付きというとっても安心できるものになります。
これはお金を払っても買えないブランディングになります。 音楽業界だけでなく、いろいろなことに通ずることですね。
古典的な音楽アーティストの言い訳として 「私たちがアルバムを収録するためにどれだけの苦労がry」 と本の中でも出てきますが、作者は全然わかっていない!と言います。そこも面白かった。
小言:がんばれ
labelmake.jpもシェアしてもらえるように頑張らないとなと思います。 でも、紹介したくなるものってイケてるものである必要条件があります。 イケてると思ってもらえる人はシェアしてもらえると嬉しいですし、 イケてないと思った方はコンタクトやフィードバックからそのポイントを教えてもらえると嬉しいです。
おわりに
ということで、とっても面白かった本をシェアさせてもらいました。
kindle unlimitedなら無料ですし、kindleなら500円です。ふっつーに安すぎます。
興味を持った方はぜひ読んでみてください。
あとさ、kindle unlimited意味わからんくらい安くなるのなんだんだろうかw 自分はunlimitedじゃなくて普通に500円でkindleで買ったんすけどね。
最後までみてくれてありがとうございました。
次回予告はオンデマンド印刷の魅力を伝えるか、フォントの魅力を伝えるか、プログラミングの話でもしようかな。
それでは!